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祇園祭礼信仰記[祇園祭礼信長記]
¥1,460
祇園祭礼信仰記[祇園祭礼信長記] 【判型】半紙本1冊。縦217粍。 【作者】中村阿契(安田蛙桂アケイ・閏助)・豊竹応律(野田文六・甚六・梁塵軒2世)・黒蔵主(コクゾウス・浪岡鯨児・並木蟹蔵)・三津飲子(ミツインシ)・浅田一鳥作。 【年代等】宝暦7年12月初演(大坂豊竹座)・刊。[大阪]刊行者不明。 【備考】分類「浄瑠璃・義太夫」。10行本。全体としては信長の一代記によりながら、中心となる3段目・4段目はそれぞれ近松門左衛門の『本朝三国志』『傾城反魂香(ハンゴウコウ)』の影響を受けて成っている。初段・松永大膳らは主君・足利義輝を酒色に溺れさせるが、信長はこれを心配し、足利家の為に義輝の弟・慶覚に還俗を勧める。大膳は義輝の母・慶寿院に仕える雪舟の孫娘・雪姫に恋慕するが、雪姫は狩野直信を恋しているので大膳の意に従わない。2段目・信長のもとへ義輝の死、慶寿院の行方不明、大膳の反逆などの報が届く。信長は明智光秀を兄妹を味方に加える。3段目・義輝の若君・輝若は乳母の侍従とともに松下嘉平次を頼る。輝吉は木下東吉の養子となる。4段目・雪姫と狩野直信は松永大膳に捕らえられる。大膳は慶寿院をも捕らえて金閣寺の楼上に閉じ込め、雪姫に自分の意に従うかと迫る。大膳が持つ刀によって大膳こそが仇と知った雪姫は大膳に切りつけるが逆に捕らえられ桜の木に縛られる。雪姫は縛られたままの爪先で鼠を描くと、これが生きて縄を食い切る。東吉は慶寿院を救い出す。5段目・東吉は松永大膳を滅ぼす(「日本古典文学大辞典」参照)。SE02497
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冠辞考(2種)
¥7,140
冠辞考(2種) 【判型】大本10巻10冊。収録順に縦250・252粍。 【作者】賀茂真淵作。 【年代等】宝暦7年6月、高梯秀倉・村田春道校。宝暦7年8月、橘枝直跋。宝暦7年9月再刊。[大阪]秋田屋太右衛門ほか板。 【備考】分類「語学」。後印本(書袋および第1・10巻)も抄録した。『古事記』『日本書紀』『万葉集』の枕詞326語(序文には「三百四十余」とある)を五十音順に配列して用例をあげ、枕詞の意味、被枕詞へのかかり方などを考証した書。序文に真淵の枕詞論が記されており、それによれば、枕詞はもともと音調を整えるためのものであったが、和歌の発達とともに修飾的性格を持つようになったとし、次に枕詞を5類に分け、さらに散文にも用いられることを指摘し、枕詞の価値を強く主張する(「日本古典文学大辞典」参照)。SE02451
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〈訳解〉開口新話
¥1,000
〈訳解〉開口新話 【判型】大本1冊。縦253粍。 【作者】谷村葭洲(カシュウ、良直・葭州)訳。 【年代等】宝暦2年冬、長洲隠吏序。寛政9年1月刊。[大阪]藤沢文苑堂板。 【備考】分類「随筆」。松忠敦訳『雞窓解頤(ケイソウカイイ)』の改題本。『雞窓解頤』は、漢文笑話、松忠敦訳、宝暦2年刊。江戸中期には岡白駒や岡島冠山らによって、怪異小説や通俗軍談物を中心に中国俗語文学の紹介翻刻が流行したが、これは笑話物の最後の抄訳本である。内容は全50話。元時代に編集された唐宋期の笑話集『諧噱録(カイキャクロク)』(2話)、『笑海叢珠』(27話)、『笑苑千金』(20話)などから抄出している。移入にあたっては中国笑話特有の字音の滑稽や役人・学者を嘲笑譏刺する内容や評語は避け、川で溺れかけた親が「五銭以上は出すな」と子に叫ぶ「溺水不救」をはじめ、日本にも通ずる単純な笑話を選び、返点と送り仮名のほか傍訓や上欄に短評を添えて読解の便を図り、中国笑話抄訳本の典型をなした(「日本古典文学大辞典」参照)。SE02261
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歌意考・文意考
¥1,000
歌意考・文意考 【判型】大本2巻合1冊。縦267粍。 【作者】賀茂真淵(加茂真淵)作。 【年代等】歌意考:宝暦10年頃成立(版下草稿は明和元年作)。寛政12年7月、荒木田久老序・初刊(五十槻園蔵板)。文意考:寛政12年10月、荒木田久老序。享和2年初刊。刊年不明。 【備考】分類「歌学・国学」。『歌意考』は、1冊、和歌、賀茂真淵著。寛政12年刊。五十槻園蔵板。いわゆる「五意考」の一。写本は多く「歌意」と題するため、本来の題名は「歌意(ウタノココロ)」か。板本の題簽には「歌意考」とあって、一般に「歌意考」と呼ばれる。板本の底本は明和元年の成立とされるが、宝暦10年成立とみられる『問ひ答え』の記述によれば、草稿本は宝暦10年頃までに出来ていたらしい。内容は、真淵の歌論として、簡略ながら要を得ている。古代和歌の本質を古道と結びつけて説きだし、素朴で純一な古代和歌が、儒教・仏教など外来文化の影響を受けて次第に衰え、心も言葉も乱れて技巧を事とした歌風がはびこるようになったが、和歌は元来天地自然に根ざしたものであり、自然が永遠である限り、古(イニシエ)ぶりに還れないはずはなく、古歌を頼りに古の大道をも理解すべきであるとし、若い頃両親から『万葉集』の歌の優れていることを教えられた思い出、『万葉集』の輪郭などをも説いている。和歌の理想としての古代和歌(特に万葉風)の本質と古歌の学習法、古道への復帰を中心とした調子の高い歌論書として、近世歌壇に多大な影響を与えた。/『文意考』は、1冊、国学、賀茂真淵著。写本は多く「文意(フミノココロ)」の名で伝えられる。享和2年、江戸須原屋善五郎ら三都5書肆刊。著者60歳近くの宝暦初年頃までに初稿成り、宝暦12年頃にも加筆。荒木田久老が『歌意考』と合わせて寛政12年に刊行を企てて翌々年刊行された。「五意考」の一。内容は、文章論で、広本と流布本があるが、流布板本は、総論と文例4項から成り、うち、3項は『古事記』からの抄出。広本は文章に補修の跡があり、文例は20項を越えて、『古事記』『日本書紀』「風土記」「祝詞」「宣命」等の古代の文章の代表的なものを収める(「日本古典文学大辞典」参照)。 SE02259
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大谷遺法纂彙[親鸞上人御法語]
¥2,000
★大谷遺法纂彙[親鸞上人御法語] 【判型】大本1冊。縦269粍。 【作者】先啓(了雅)編・跋。 【年代等】宝暦5年4月自跋。宝暦7年4月刊。[大阪]柏原屋清右衛門板。 【備考】分類「真宗」。SE02166
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絵本野山草[画本野山草](明治初年・芸艸堂板)
¥2,460
絵本野山草[画本野山草](明治初年・芸艸堂板) 【判型】半紙本5巻5冊。縦234粍。 【作者】橘保国(法橋保国・後素軒)画。 【年代等】宝暦5年8月初刊([大阪]渋川清右衛門板)。明治初年後印。[京都]芸艸堂板。 【備考】分類「植物」。甘菊花・紫蕙・花蔓草・熊谷草・敦盛草等約200種の野草類を描いた絵本。各植物の解説文あり(西尾市岩瀬文庫・古典籍書誌DB参照)。/大坂の絵師、橘保國のあらわした植物図譜。のびやかに生き生きと描かれた花の絵は意匠性に富み、眺める楽しさに満ちており、いくつかの植物には詳しい説明が添えられている。マリーゴールドやポピー等、珍しい渡来植物を多く載せることも本書の特徴である。浮世絵師、北尾重政の図様の典拠であるとの指摘もあり、植物図と浮世絵花鳥画との関連も窺わせる(千葉大学、江戸・明治期園芸書コレクションHP参照)。/本書は、絵手本ながら立派な植物図譜。本文は各巻20丁前後、草木は線描によって画かれ各々の植物の特徴をよく表現している 序文にもあるごとく外来植物を取り入れ、銀銭花、らんぎく(だんぎく)、午時花(ごじか)、夕錦(おしろいばな)、羽衣草(のこぎりそう)、紅黄草(マリーゴールド)、鬱金(うこん)、立葵(ホリホック)、時計草、千日紅、あらせいとう(ストック)、日車草(ひまわり)、美人草(ポピー)、鳳仙花、べにのはな、朝鮮(ちょうせん)蕣(あさがお)(一年草ダツラ)、貴船菊(八重咲しゅうめいぎく)などである(名古屋園芸HP参照)。 SE02114
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〈鼇頭定本〉易学小筌[白蛾先生鼇頭増補定本易学小筌](2種)
¥4,460
〈鼇頭定本〉易学小筌[白蛾先生鼇頭増補定本易学小筌](2種) 【判型】中本1冊。収録順に縦174・188粍。 【作者】新井白蛾(謙吉・黄洲・古易館)作。山熈(サンキ)校・序。 【年代等】宝暦4年2月、山熈序・初刊。文化2年5月、浅野星文堂例言。文化2年7月再刊。[大阪]浅野弥兵衛ほか板。 【備考】分類「漢学」。文化板と天保板の2種を全冊収録した(文化板は袋綴じ展開収録)。『易学小筌』は、「易聖」新井白蛾が易学の手引き書として註解したものに加筆して、易の起原から日本に伝来した経路、及び、八卦の立て方から六十四卦の判断の仕方まで、直接の講義を聞くように説明したもの(こよみの神宮館HP)。江戸時代から現代まで最も読まれた易学書。作者の新井白蛾は、当時儒学者に卑しまれていた占筮を朱子学の基礎理論に立脚して復権し、一派を確立した。その後、岡田白駒が『古周易解』で、河田東岡が『周易新疏』で卦象を重視したのと軌を一にする。かつて芥川丹邱と易を論じ、歴代130人以上の儒家の説を挙げて「魏晋の人々は虚ろな理論に混乱し、宋・元代の人々は性理説に縛られている。どちらも真の易の義に遠い」と断じ、自分のことは「日本に邵康節先生が再来して、象数が明らかになったといってもよいだろう」と自負していた。好んで和歌を詠み、日本の典故にも通暁し、新井白石の『同文通考』を校訂したこともある。門下として真勢中州・谷川龍山・古澤白泉がいる(Wikipedia参照)。SE02066
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謡字引[謳字引・観世流内百番謡字引]
¥1,160
謡字引[謳字引・観世流内百番謡字引] 【判型】中本1冊。縦188粍。 【作者】不明。 【年代等】宝暦9年9月、木強思明(高忠)序。宝暦10年4月刊。[大阪]寺田善助板。 【備考】分類「謡曲・辞書」。SE02036
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牛療治調法記[牛科重宝記・牛経]
¥3,920
★牛療治調法記[牛科重宝記・牛経] 【判型】横本1冊。縦107粍。 【作者】日野友松軒作。 【年代等】宝暦6年7月刊。[京都]銭屋三郎兵衛板。 【備考】分類「獣医」。「牛科撮要」享保5年(1720)に次ぐ牛病の印刷本(木版)。日本獣医師会HPによれば、本書は中国由来の『牛経』に基づくもので、本邦では利用されていない水牛疾病の項目を除き、原典(中国の『牛経』)の項目の約70%を訳出していること、内容の症状については半分程度、病気によっては病名だけのところもあるが薬方に関してはほぼ完全に記載している。島田謙造「江戸期における牛病治療の資料的研究」(日本獣医史学雑誌,27,46~49(1991))は、「わが国の江戸期牛病治療の技法の学術的根拠となる原典は、中国獣医書の将来とその和刻書による普及と……技術的経験と学説の増幅により、日本式牛病治療書が出版され、これらの版本をもとに写本形式で種々の治療書が作成され普及したもの」とする。SE02026
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以呂波問辨(2種)
¥1,000
以呂波問辨(2種) 【判型】大本1冊。収録順に縦257・247粍。 【作者】諦忍(妙竜・空華クウゲ)作。 【年代等】宝暦13年1月作。宝暦14年1月刊。[京都]銭屋利兵衛板。 【備考】分類「文字」。後印本も抄録。本書は、問答体で、イロハ47字は空海の創作ではないことを説いた書。もと天照大神がさずけた47言(ひふみよいむな…あせえほれけ)を、大己貴尊(オオアナムチノミコト)と天八意命(オモイカネ)が神代文字47字に写し取ったが、後に空海が7字1句に詠み替えたとする。いわゆる神代文字存在論の代表であるが、学術的には否定されている(「日本古典文学大辞典」参照)。SE02013
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伊勢物語古意・よしやあしや[予之也安志夜]
¥4,880
伊勢物語古意・よしやあしや[予之也安志夜] 【判型】大本7巻7冊。縦261粍。 【作者】賀茂真淵注。上田秋成校(「よしやあしや」)。 【年代等】宝暦3年頃成立。寛政5年9月刊。[大阪]渋川与左衛門ほか板。 【備考】分類「物語・注釈」。巻1に上田秋成の序、古意総論、本文注釈の1-15段を記す。以下、巻2に16-31段、巻3に32-58段、巻4に59-76段、巻5に77-95段、巻6に96-125段を分載する。巻1の古意総論には、物語論・題号論・業平自記否定論・伊勢御作否定論・史実相違論・成立時代論・本文論・昔男業平論の8カ条をあげて論じている。全体的に当時の新注に飽き足らず、古意を失わないようにとの意図のもとに、契沖の『勢語臆断』や荷田春満の『伊勢物語童子問』の説を一歩進めてる。注釈の記載形式は、適宜本文に区切りをつけ、注釈を加え、上段にも細字で頭注を施している。旧注名を一々あげることはしないが、全体的に旧注に対する検討をふまえて整理され、その考証は一段と精緻になっている。特に大きな特色は、真名本を底本本文の位置に据えて、定家本系仮名本を「今本」と記して対照的に使用し、大体、真名本によって解釈態度を決めている点である。注釈史上の本文系譜において、定家本系を離れ、真名本を重視している点に特異なものがあるが、その点について本居宣長は『玉勝間』で、真淵の真名本の偏重態度を批判している(「日本古典文学大辞典」参照)。SE01943
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〈天保新板〉伊勢参宮道しるべ[西国細見大全]
¥2,000
★〈天保新板〉伊勢参宮道しるべ[西国細見大全] 【判型】横本1冊。縦109粍。 【作者】芙蓉山人作・序。池田東籬(正韶マサツグ・悠・鳳卿・東籬亭・菊人キクヒト)編。 【年代等】宝暦13年3月、芙蓉山人序。天保年間刊。[京都]平野屋茂兵衛ほか板。 【備考】分類「地誌」。袋綴じ展開収録(見開き図再掲)。京都・大阪・江戸からの伊勢参宮の道法や沿道の名所や地誌などを略記した道中記。宝暦13年晩春の序文に、「今年の春、聊かものゝひま侍るに、一、二の友人をいざなひて年頃の望をとげ侍りぬ。されば、往還(ユキカエリ)の行程(ミチノリ)あるは名勝の始末など書付侍るゝを、書肆のもとめに」応じて上梓した旨を記す。巻頭に色刷り絵地図「伊勢参宮順路、并高野・大和巡り、播州巡り順路」を掲げる。また、巻頭で、伊勢参宮が本来「私に詣づる事を堅く禁じさせたまふ」ものであり、世間に横行する「抜け参り」等は言語道断の所業であり、伊勢参りは「主・親の許し」を得て行うべきものと戒める。 SE01935
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文布[あやぬの・伊香保の道ゆきぶり・ゆきかひ・散のこり・草乃露]
¥1,240
文布[あやぬの・伊香保の道ゆきぶり・ゆきかひ・散のこり・草乃露] 【判型】大本2巻1冊。縦268粍。 【作者】油谷倭文子(ユヤシズコ、弓屋倭文子)作。賀茂真淵(県主)跋。橘常樹跋。 【年代等】宝暦8年3月、村田春道序。寛政2年8月序。寛政2年9月刊。[大阪]増田源兵衛ほか板。 【備考】分類「歌文集」。『文布』は3巻3冊。和歌・和文。油谷倭文子作。村田春道編。宝暦8年、江戸・出雲寺和泉掾刊。作者は県門の三才女の一人で、宝暦2年20歳で早世した。本書はその七回忌の宝暦8年に、遺稿を整理し、家集として上梓したもの。同年の春道の序と橘常樹の跋文とがある。版下は師、賀茂真淵が哀情を込めた筆であると推定される。巻1は「伊香保の道ゆきぶり」(紀行文)、巻2は「ゆきかひ」(消息文)と「散りのこり」(歌集)、巻3は「くさの露」(追悼歌文集)である。巻1の紀行は、作者18歳の頃、母と共に上州伊香保温泉に旅行した時のものである。巻2のうち「散りのこり」は作者の私家集で、これだけで独立して伝えられている。巻3には、路子・しげ子・余野子・紅子・さよ子など、当時の同門女流の追悼文や、加藤枝直(エナオ)・賀茂真淵などの墓碑銘文や、長歌12首、短歌26首、文章4編などを収めている。これらもまた作者を知る好資料である(「日本古典文学大辞典」参照)。本来3巻3冊だが、底本のように2巻合1冊(1-2巻の全部と、3巻13丁「倭文子が墓の石にかきたる」を合綴し、3巻「くさの露」を欠く)の改編本も刊行されたようである(底本と同じ装丁の別本が宮内庁書陵部にも架蔵されている)。 SE01873
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商人生業鑑(2種)
¥4,200
商人生業鑑(2種) 【判型】半紙本5巻5冊。収録順に縦225・225粍。 【作者】岩垣光定作・跋。守岡光信画。 【年代等】宝暦7年1月、桃渓逸人序。宝暦7年春自跋・初刊?。明和9年1月再刊([大阪]和泉屋卯兵衛ほか板、また別に、[京都]菱屋孫兵衛ほか板)。文政元年10月再刊([京都]菱屋孫兵衛板)。弘化3年4月再刊([京都]菱屋孫兵衛板)。 【備考】分類「商業」。文政板と弘化板の2種を全冊収録した。『商人生業鑑』は、宝暦7年の作者自跋に「凡、商人の家業は、代ものに念を入れて麁末なく、諸方の用事をよくとゝのへ、得意を大事にし、人には厚く与へ、我は薄くとり、常に仁義の教をも心にかけ…召遣の手代・小者を憐み育て、家内よく和し、倹約を守り、祖先よりの家をよくをさめ、由縁の貧きを救ひ、身を立て、父母の名を汚さぬを肝要とす」とあるように、このような主意を敷衍した商人教訓書。宝暦7年作で、初刊は明和9年の可能性もある。著者、岩垣光定については未詳(日本経済叢書7巻解題参照)。 SE01843
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〈万教訓・諸礼法・書札大成〉文林節用筆海往来[万宝字林文法綱鑑](宝暦11年・2種)
¥3,260
〈万教訓・諸礼法・書札大成〉文林節用筆海往来[万宝字林文法綱鑑](宝暦11年・2種) 【判型】大本1冊。収録順に縦280・266粍。 【作者】山本序周作・序。 【年代等】享保2年初刊。宝暦11年1月再刊。[大阪]大野木市兵衛(秋田屋市兵衛)ほか板。 【備考】分類「往来物」。袋綴じ展開収録(見開き図再掲)。同板別本も抄録した。『〈万教訓・諸礼法・書札大成〉文林節用筆海往来』は、「未逢人に遣す状」から「すそわけ物を遣状・同返事」までの286通を収録した最も浩瀚な用文章の一つで、底本はその初版本。各状とも比較的短文でほぼ同輩向けの例文となっており、これを短句に分けて大字・9行・付訓で記し、さらに割注形式で尊卑別の表現や略注を施す。書名の「節用」は、例文の配列や語彙集(頭書「節用字づくし」)で、『節用集』の如きイロハ分類を用いたことに由来し、例えば本文の「ホ」項で「奉公に出たる人に遣す状」「蛍見を催す状」「盆の祝儀につかはす状」「法躰したる人に遣す状」のように、主題の頭字によってイロハ分けするのが特徴。自序によれば、従来の用文章では例文が少なく、「四季の式目、若(もしく)は婚姻、饗応の躰をそふるのみ」であるのを不満に思い、「民間の文通すへき」例文の数々を収録したとする。付録記事も多彩で、特に頭書に盛り込んだ語彙集には、序周編、宝永6年刊『女節用集文字袋家宝大成』や享保元年刊『男節用集如意宝珠大成』の影響も見られる。前付に「難波風景之図(摂州名所図)」「本朝能書の三筆」「看板(管板)書様事」「暖簾書様事」「箱の書付仕様事」「歌書書様事」「扇詩歌書様事」「色紙・短冊書様」「掛物絵讃書様」「絵馬・札書様」「本朝能書の三蹟の事」「京・江戸本海道道中記」「文字略上中下の次第」「唐土の三筆」「物の数書様之事」「書の十体之事」「人倫家業絵尽」「和俗制作の字」「伊勢斎宮の忌詞」「書札教訓状」、頭書に「節用字づくし(草木・鳥獣魚虫・衣食道具・人倫支躰・天地時節)」「故実来歴之絵抄」「文章用捨之聞書抄」「異名尽」、さらに後付に「十干十二支」「近代年号記」を掲げる。享保2年初板本以後、一部、書名や付録記事などを変えながら、享保4年・享保6年・享保18年・延享4年・宝暦11年・天明7年・寛政11年・文政元年とたびたび刊行されたが、このほか、携帯用に小型化された三切本の安永8年板『文林節用筆海往来』もある。 SE01379
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〈文章必用〉女千載和訓文[文章指南抄・女文章手引草](2種)
¥6,920
★〈文章必用〉女千載和訓文[文章指南抄・女文章手引草](2種) 【判型】大本1冊。収録順に縦264・266粍。 【作者】文正堂(紅屋長右衛門か)作(『江戸出版書目』によれば玉花子作)。月岡雪鼎画。 【年代等】宝暦9年8月刊。[江戸]吉文字屋次郎兵衛ほか板。 【備考】分類「往来物」。袋綴じ展開収録(見開き図再掲)。同板別本も抄録した。『〈文章必用〉女千載和訓文』は、主題のイロハ分けによって例文を配列した独特な女用文章。冒頭に「亥子のいはゐに遣す文」「いまだあはざる方へ遣す文」「いむきよ(隠居)したる人へ遣す文」など「イ」音で始まる主題の例文を掲げ、以下、イロハ順に「せちふるまひよびに遣す文」まで合計107通を収録する。本文をやや大字・8行・付訓の並べ書きで記し、原則として書止の「めでたくかしく」を省略する。例文も多いが付録記事も豊富で、巻頭に「神・尊・聖・賢・貞・列」の教訓と「文章指南抄」と題した散らし書き・並べ書きの各種書法(7通)、「小笠原流折形・結形」「しうげんの次第」「女の名字づくし」「女諸礼教草」などの記事を掲げ、頭書にも「四季衣装の事」「文枝折」「月の異名」「衣服の数詞遣」「道具数言葉づかひ」「名女伝記」「文のかきやう指南」「女言葉づかひ」「大和言葉」「呪咀調法記」「万病妙薬嚢」「しなさためけしやうの巻」「万染物の仕やう」「万しみ物おとしやう」「衣服秘事海」「道具智恵海」「女中智恵箱」「食物喰合之事」「料理重宝記」「色紙短冊寸法」「歌のよみやうの事」「名所古歌略集」等の多彩な家政・女子教訓関連の記事を盛り込む。なお、本書の増補版に明和7年刊『女大成錦書』があり、本書の改題本『女用手引草』が寛政12年頃、大阪・吉文字屋市兵衛から刊行された。 SE01491
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〈百人一首〉雛鶴源氏艶文選
¥2,920
★〈百人一首〉雛鶴源氏艶文選 【判型】大本1冊。縦264粍。 【作者】西川祐信画。 【年代等】宝暦3年頃作・刊。[江戸]野田七兵衛板。 【備考】分類「百人一首」。「小倉百人一首」に種々の記事を添えた三階板百人一首。百人一首には傍注と作者の略歴を付記する。付録記事は、巻頭に色刷り口絵として「月や けふをる菊の 花のえだに よろづ代契る 雲のうへびと」の源行家の和歌と挿絵を掲げ、前付に「女中御目見の式、御厨子・黒棚餝図」「百人一首歌言葉」「女五常訓注解絵抄」「大和言葉」「女中風俗身持鑑図絵」「御所言葉づかひ」「本朝三美人伝」「新女訓抄」「貞女の部」「賢女の部」「娘を縁付心得事」「名筆女画之事」「文学才女の部」「嫁取嫁入の始」「衣桁餝之図」「天神之来由」「四季衣服着様」「女容色面荘の事」「一代守本尊并ニ御えん日」「男女相性の占」「六十図」「男女相性吉凶之事、并ニ引歌」「生下未分胎内図」「女の名字尽」「暦の中だんをしる事」「文封じやうの事」「脇付上中下の事」「こよみの下だんをしる事」「五節句の文章」「五節句の事」「婚姻之規式」「和歌之三神」を載せる。また、本文は頭書を2段に分け、上段に「三十六人歌仙」「源氏目録歌、并香図」「三十六人女歌僊」「牽牛織女祭図」「七夕歌づくし」「女一代かゞみ」、下段に「女官の称号」「香の聞やうの事」「貝合・歌かるたの図」「弾碁の始」「擲石の事」「受取渡の躾方」「児女躾方図式」「かよひの事」「万包物折形の図」「進上物積様之図」「衣服裁物仕様」「万しみ物落し様」「琴之発の事」「琴の組」「不成就日の事」「有卦無卦の事」「知死期くりやう」「椎に入る日の事」「辻占の事」「懐胎の男女を知事」「夜泣を留まじなひ」「童子の旋を知事」「秘伝妙薬の方」「むすび形の図」「髪のわげ様」「硯の面に物書ぬ事」「屏風の裏書の事」「柳箱の事」「乳母のはじまり」「経水の間をたやと云事」「神前の鏡の事」「お徳女の事」「賢過たるを小尺と云事」「女今川図解」、さらに裏表紙見返しに「六所玉川和歌」を掲げる。 SE01604
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立画百人一首宝海[立画百人一首]
¥2,240
★立画百人一首宝海[立画百人一首] 【判型】半紙本1冊。縦231粍。 【作者】北尾辰宣(トキノブ、仁右衛門・雪坑斎)画。 【年代等】宝暦7年初刊([大阪]糸屋源助ほか板)。明治初年再刊。[大阪]中野啓蔵板。 【備考】分類「百人一首・往来物」。袋綴じ展開収録。『立画百人一首』は、歌仙絵の多くを立ち姿で描いた独特の小倉百人一首。 SE01599
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女筆三芳野[三吉野](宝暦3年)
¥2,760
★女筆三芳野[三吉野](宝暦3年) 【判型】横本3巻3冊。縦159粍。 【作者】長谷川筆会子(長谷川品・筆海子)書。 【年代等】宝暦3年1月刊。[京都]和泉屋庄兵衛板。 【備考】分類「往来物」。袋綴じ展開収録。『女筆三芳野』は、女筆手本としては珍しい横本3巻からなる散らし書きの女筆手本。上巻は新年祝儀状や久しく会わない友への文、真鶴・初鮭拝領の礼状など11通。中巻は珍しい友の訪問に対する礼状や、加持祈禱礼状、端午節供祝儀状など11通。下巻は京都の女性向け土産物や、深草・稲荷山・東福寺など京の秋の風趣を述べた手紙、また、知人の娘の縁談を祝う文など8通。合計30通を収録。巻頭に、みよしの(吉野方面)の風景図と手習指南図を掲げる。なお、作者については、『女学範』は本書を「しな」作とする一方で、明和5年『女中庸瑪瑙箱』や『大坂本屋仲間記録』は長谷川妙躰筆とする。ここでは女流書家や女筆手本を詳しく論じた『女学範』の説に従っておく。 SE01529
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翰玉古状手習鑑(宝暦2年)
¥2,880
★翰玉古状手習鑑(宝暦2年) 【判型】大本1冊。縦251粍。 【作者】市橋某書。 【年代等】宝暦2年9月刊。[江戸]野田七兵衛ほか板。 【備考】分類「往来物」。『翰玉古状手習鑑』は、本文に「今川状」「大坂進状・同返状」「直実送状・経盛返状」「腰越状」「義経含状」「弁慶状」「手習状」の9状を載せ、前付や頭書に豊富な付録記事を盛り込んだ往来物。前付に「天神経」「五常図解」「鎌倉鶴岡八幡宮図」「江島之図」「小野篁故事」「実語教」「風月往来」「小野篁歌字尽」「曽我状」「七以呂波」「諸証文書様」「人の名頭字」「うけむけをしる事」「本朝年号之始」「七夕詩歌づくし」、また、頭書に「諸国海陸記并郡名・諸国大名領地ほか」「諸礼之法式図抄」「諸商売部類字尽」「姓氏名字」を掲げる。 SE01397
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女文重宝記[女文翰重宝記](宝暦3年書)
¥2,000
★女文重宝記[女文翰重宝記](宝暦3年書) 【判型】大本1冊。縦271粍。 【作者】加藤常蔵(加藤親由*18歳)書。 【年代等】宝暦3年3月書。 【備考】分類「往来物」。『女文重宝記』は、享保5年7月刊『女文翰重宝記』の写本。享保5年刊『〈新編類聚〉女文翰重宝記』は、「正月いわゐの文」から「普請祝ひの文」までの39通を収録した女用文章。前半に四季・五節句の文、続いて出産・髪置・疱瘡見舞い・庚申待ち・縁組み・湯治見舞い等の文章を収める。各例文を大字・5行・ほぼ付訓で記し、随所に「文章の替字」をやや小字で掲げるのが特色。任意の語句の略注や古歌の引用も見られ、表現の変化に重点を置く。巻頭に「七情(喜・怒・愛・楽・哀・悪・欲)教訓」「伊勢本海道道中記并ニ名所付」「女文字・女の学問・読書等」「女子教訓歌・絵抄」「女きやうくんしつけ方」「髪置之図式」、巻末に「男女性に依て用べき字尽」「女中文の封様之事」および跋文を載せる。 SE01496
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大橋かな手本〈并三躰いろは〉(2種)
¥2,560
★大橋かな手本〈并三躰いろは〉(2種) 【判型】大本1冊。収録順に縦275・266粍。 【作者】篠田行休書。 【年代等】宝暦6年6月、関口道順跋・刊([江戸]前川六左衛門板)。江戸後期再刊([名古屋]永楽屋東四郎板)。 【備考】分類「往来物」。同板2種を全冊袋綴じ展開収録。『大橋かな手本〈并三躰いろは〉』は、五節句・四季の手紙や袖留祝い・婚礼祝いの文など仮名文18通を収録した大橋流手本。並べ書きと散らし書きの双方を含み、概ね大字・4行・無訓で記す。巻末に「春の和歌」と「三体いろは」(平仮名と漢字行草二体)を付す。 SE01485
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〈倭規〉女用章[倭散し](進藤秀)
¥2,000
★〈倭規〉女用章[倭散し](進藤秀) 【判型】特大本1冊。縦316粍。 【作者】進藤秀(藻雪)書・跋。 【年代等】宝暦2年2月書。宝暦3年1月刊。[京都]小川源兵衛(松月堂・興文閣・友松堂)ほか板。 【備考】分類「往来物」。袋綴じ展開画像を見開きに加工。『〈倭規〉女用章[倭散し]』は、新年の福引に際しての祝儀状から、雛人形飾り役に関する質問状までの全39通を収録した女筆手本。前半24通は、ほぼ1年各月の行事や節句に伴う手紙で、それぞれ往復一双ずつ収録。後半15通は往状または返状のみで、新年祝儀の披露文や山桜を贈る文、賀茂祭見物の文、暑中見舞いなど季節折々の手紙が大半を占める。一枚散らし、三段~五段散らしなど全文を各種散らし書きで綴る。また、例文に丸付きのイロハ文字で読み順を示す点は女筆手本としては異例である。 SE01506
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〈かな文章〉手引のまつ(戸田正栄)
¥2,000
★〈かな文章〉手引のまつ(戸田正栄) 【判型】横本1冊。縦157粍。 【作者】戸田儀左衛門(戸田正栄・玄泉堂)作・書・跋。 【年代等】宝暦11年1月刊。[大阪]松村九兵衛(敦賀屋九兵衛・文海堂)板(後印)。 【備考】分類「往来物」。袋綴じ展開収録。『〈かな文章〉手引のまつ』は、「あらたまりし此春の御寿…」に始まる賀状以下、花見誘引状・桃の節句祝儀状・菖蒲の節句祝儀状を始め、賀茂の禊・七夕・八朔・重陽・歳暮等に伴う四季用文、また、婚礼・髪置など女性に関わる祝儀状など25通を収録した手本。初板本見返に目録を付す。全文が大字・無訓の二段散らし書き。半切の大きさからして、ほぼ実際の手紙を原寸大で綴ったものであろう。また、奥書に「書林高田氏の懇望に依りて…」とあるように堺屋清兵衛が初印である。 SE01523